静脈のはたらきと病気
静脈のはたらき
私たちの体には、血液の通り道である「動脈」と「静脈」があり、血液は全身を循環しています。
動脈(行き):心臓から酸素や栄養をたっぷりと含んだ血液を、体のすみずみまで届けます。
静脈(帰り):全身で使われた血液や老廃物を回収し、再び心臓へと戻します。
「静脈」には2種類あります。
何らかの原因で、この「深部静脈」の流れが滞ってしまうと、足に血液が溜まり、つらい痛みや腫れを引き起こしてしまいます。


深部静脈血栓症(DVT)
太もも、ふくらはぎ、骨盤の中を走る「深部静脈」に、血の塊(血栓)ができて、血液の流れをせき止めてしまう病気です。無症状の方も含めると、日本では年間約15,000名もの方が発症していると言われています*1
この病気は、単に足が腫れて痛いだけではありません。できた血栓が流れ出し、肺に詰まってしまう「肺塞栓症(はいそくせんしょう)」という命に関わる病気につながる危険があります。
だからこそ、早期に発見し、適切な治療を受けることが何より大切です。
適切な治療を受けないと・・・

肺塞栓症
発症してすぐの時期(急性期に)に現れる最も恐ろしい合併症です。
足の血管でできた血栓が血流に乗って肺へ移動し、肺の血管を詰まらせてしまいます。
息苦しさや胸の痛みが生じ、迅速に治療を行わないと命にかかわる緊急事態となります。

血栓後症候群(PTS)
深部静脈血栓症のあと、血栓が残ってしまったり、静脈の弁(逆流を防ぐドア)が壊れたりすることで、慢性的に血液の流れが悪くなってしまう後遺症です。
「足が重くて痛い」「むくみが取れない」「皮膚に潰瘍(キズ)ができて治らない」など、不快な症状が続き、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。
*1 2025 年改訂版肺血栓塞栓症・深部静脈血栓症および肺高血圧症に関するガイドライン
主な症状
以下のような症状はありませんか?
これらの症状は、同時に現れることも多くあります。


主な発症のきっかけ
血流が悪くなりやすい、以下のような状況が発症のきっかけとなります。


長時間動かない状態が続いたとき(車や飛行機での移動、長時間のデスクワークなど)

手術後などで安静が必要な期間、入院中、ベッド上が長い状態

がん治療中の方

妊娠中、出産直後の方

肥満の方

喫煙されている方

遺伝的に血が固まりやすい体質の方

ピル(経口避妊薬)やホルモン剤を服用している方

以前、深部静脈血栓症になったことがある方
※はっきりした原因が自分ではわからないことも多いため、気になる症状があれば、受診しましょう
監修:
太田記念病院 循環器内科 安齋 均先生
大阪けいさつ病院 循環器内科 藤原 昌彦先生
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